2011/04/28

ボスのリバー





俺の故郷は谷の町だった
そこでは若者は 父親の跡を継ぐように育てられるんだ
俺とメアリーが出会ったのは高校時代のことで
彼女はまだ17才だった
二人で谷を抜け出し
緑の野原へドライブに行ったものだった

川へ行き 飛び込んで泳いだものだ
川のところまで行ったものだった

それから俺はメアリーを孕ませてしまった
彼女が書いてよこしたのはそれだけだった
俺の19歳の誕生日 
俺は労組の組合証と結婚式に着る上着を手に入れた
二人だけで役所へ行き 手続きを済ませた
結婚式の笑いも 教会での式もなく
祝福の花も ウェイディングドレスもなかった

その夜 二人で川のところへ行った
川の中へ飛び込んで泳いだ
川のところまで行ったんだ

ジョンズタウン建設会社に職を得たが
近頃は不況であまり仕事がない
大切だと思われた全てのものが
みんな空しく消えてしまったようだった
俺は何も覚えていないというふりをし
メアリーはちっとも気にしていないというふりをしている

でも兄貴の車を借りて二人でドライブした時のことは覚えている
貯水池でのメアリーの日焼けして濡れた身体は素敵だった
夜 堤防で俺は目を覚まして横になっていた
彼女の息を感じるために彼女を近くに抱きよせた
今 こんな思い出がよみがえり 俺を苦しめる
呪いのように俺を苦しめる
叶えられなかった夢は偽りなのか
それとももっと悪いものなのか
俺を川に行かせるほどに
川は干上がっていると知っているけれど
俺を川に行かせるほどに悪いものなのか

川へ
あいつと俺
川のところまで俺たちは行く